私がキエーロの存在を初めて知ったとき、
正直、少し信じられませんでした。
におわない、虫が来ない、手入れ不要、
ランニングコストはほぼ0円。
しかも、生ごみが消えて土が増えない。
これまで私が知っていたコンポストとは、
まったく違う特徴ばかりだったからです。
気になって、開発者の松本さんのサイトはもちろん、
個人ブログ、自治体のモニター調査、
見つかる限りの情報を読みました。
どうやら本当に、
「埋めるだけ」で生ごみは分解されるらしい。
これなら、私にもできそうだ。
そう思いました。
問題は、手に入らなかったことです。
そもそも、キエーロを販売しているところ自体がほとんどなく、
見つかったとしても、
遠方で取り寄せが必要だったり、
都市部の住まいには大きすぎるサイズだったり、
当時、私の目に入った範囲では2万円前後の価格帯が多く、
気軽に試せるものではありませんでした。
DIYが得意なら自作という道もありますが、
DIYに慣れていなかった私にとっては
「欲しいのに、手に入らない」状態が続きました。
そのうち、
「誰かがこの近所で作ってくれないだろうか」
「自治体が取り組んでくれたらいいのに」
と、待つようになりました。
でも、数年待っても状況は変わりませんでした。
待っているだけでは何も起きない。
そう痛感して、
自分で作るしかない、と腹をくくりました。
DIYに詳しい人に相談しながら、
材料を一つずつ、ネジ一本まで用途や耐久性を考えながら選んで、
プランターでキエーロを仕上げました。
完成して始まったキエーロ生活は、
期待していたとおり、あるいはそれ以上に快適でした。
数年使っても、大きなトラブルはありません。
一方で、ネット上では
「キエーロ」と名のつく情報が増えていきました。
リンゴ箱や収納ボックスを使ったものなど、
手軽そうで見た目もよく、
SNSでも紹介されやすい形が広まっていきました。
いつの間にか、
「キエーロといえばこういうもの」という
ひとつの型のように受け取られる場面も増えていったように感じます。
一度広まった形が、そのまま「正解」のように受け取られていく流れもあったのだと思います。
一方で、そうしたものの中には、
使い方だけでなく、
容器の構造や素材の違いによって、
においや虫、破損などのトラブルが起きている例も見かけました。
情報を追えば追うほど、
「ラクで楽しい方法があるのに、
そこにたどり着くのは意外と難しい」
と感じるようになりました。
知ること、
手に入れること、
正しく使うこと。
その一つひとつに、小さな壁がある。
こうした実感は、
いきちかクラブが大切にしてきた考え方とも重なっていました。
いきちかクラブでは、
「この地域に必要なのに、まだないこと」を
「今の自分たちにできる形」で実践することを大切にしています。
キエーロ式プランターコンポストは、
まさにそれでした。
この地域に必要なのに、まだなかった。
そして、今の自分たちならできる。
だから、始めました。
講座でよく、
「開催してくれてありがとう」
と言ってもらえることがあります。
その言葉を聞くたびに、
あのとき自分で動いてよかったと感じます。
この取り組みは、
仲間や協力者と一緒に進めている小さな活動です。
これからも、
「必要なのに、まだない」ものを、
小さくても、確実に形にしていきたいと思っています。
いきちかクラブのことをもう少し知りたくなった方は、
キエーロ式プランターコンポストの講座や、
日々の活動の記録ものぞいてみてください(→ Instagram / Facebook / X)。
また、販売や設置に関心のある施設やお店の方や、
活動を応援・協力してみたいという方がいれば、
できることを、できる範囲で、
声をかけていただけるとうれしいです。
[くらし×微生物]いきちかコンポストプロジェクト

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