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東京都の自治体の堆肥化容器(コンポスト)・家庭用生ゴミ処理機の購入費助成,購入斡旋,無料提供の一覧(2024年)

コンポストプロジェクト

東京都内の自治体のコンポストや生ごみ処理機に関する支援についてまとめました。

購入費の一部を助成(キャッシュバック)する制度の有無についてまとめているウェブサービスは時々ありますが,中には情報が不正確であるものもあります。そもそも,購入費の助成がなくても直接コンポストを無料で提供している場合もありますので,購入費助成だけ見ていては本当の姿が分かりません。

ここでは,東京都の各自治体の生ごみ削減に関する取り組みの本当の情報をピックアップして紹介します。

「堆肥化容器(コンポスト)の購入助成」「電気式生ごみ処理機の購入助成」「購入斡旋」「無料提供」の4つについて調査し表にまとめています。それ以外の独自の取り組みがあれば「独自」欄に記載しています。

比較表内で,さまざまなコンポストが出てきます。イメージできるように一例を下図に示します。表内で「ミニ・キエーロ」と書いているものは「キエーロ式プランターコンポスト」と同じです。「LFCコンポスト」は「バッグ型」の特定企業商品です。

コンポストの一例

東京都23区

特別区(23区)堆肥化容器の購入助成電気式生ゴミ処理機の購入助成購入斡旋無料提供独自
1. 千代田区
67%
上限30,00円

67%
上限30,00円
2. 中央区××区役所,区立学校・保育園から出る生ごみの飼料化
3. 港区50%
上限20,00円
50%
上限20,00円
生ゴミ乾燥機(貸与)
4. 新宿区××(平成16年度に斡旋終了)
5. 文京区50%
上限20,00円
50%
上限20,00円
6. 台東区××・LFCコンポスト(1割引)区+大丸松坂屋百貨店+ローカルフードサイクリングで「循環型ライフスタイルへの転換に向けた取組に関する連携協定」
7. 墨田区××・埋め込みコンポスター
・密閉バケツ
8. 江東区×50%
上限20,00円
・大型キエーロ
・段ボールコンポスト
・森のしくみ
・密閉バケツ
(モニター提供)
9. 品川区33%
上限20,00円
33%
上限20,00円
10. 目黒区××駒場野公園の生ごみ堆肥化機械の見学・体験
11. 大田区××
12. 世田谷区××・「減らそう、生ごみ!」連載コラム
・生ごみ堆肥で美味しい野菜作り講習会
13. 渋谷区50%
上限20,00円
50%
上限20,00円
・LFC
・密閉バケツ
・埋め込みコンポスター
・電気式パリパリキュー(ライト含む)
区立小学校とふれあい植物センターにスマートコンポスト設置実証(生ゴミの拠点回収)
14. 中野区××・LFC
・密閉バケツ
・土中埋め込みコンポスター(ミラコンポ含む)
・回転式
・電気式パリパリキュー(ライト含む)
段ボールコンポストの紹介
15. 杉並区×50%
上限20,00円
手動式もOK
・食用油の回収
・衣類の拠点回収
16. 豊島区×50%
上限20,00円
17. 北区50%
上限20,00円
50%
上限20,00円
18. 荒川区50%
上限20,00円
50%
上限20,00円
ミニ・キエーロ(モニター提供)
19. 板橋区××・堆肥作りの紹介(土中埋め込みコンポスター/段ボール/植木鉢)
・親子講習会
・職員ブログ「生ごみ堆肥化日誌」
20. 練馬区××・土中埋め込みコンポスター(ミラコンポ含む)
・電気式パリパリキュー(ライト含む)
21. 足立区50%
上限20,00円
50%
上限20,00円
使用済み食用油の回収
22. 葛飾区50%
上限20,00円
50%
上限20,00円
23. 江戸川区××・生ゴミリサイクル方法の紹介(生ごみ処理機/土中埋め込みコンポスター/発泡スチロール箱/密閉バケツ*/ミミズ箱)
・講習会

*「密閉容器バケツ」と書かれていますが密閉ではない筒型袋が紹介されています
※自治体が「EM容器」「EMコンポスト」などと表現しているものも,「EM」として売られている特定商品の使用が必須でない場合は,本記事では「密閉バケツ」としています。

東京都26市

26市では民間企業と協定を結んでのリサイクル回収が行われているところも多くありました。メモ的に「独自」欄に記録したところもありますが,これらは行政サービスと言いがたい面もあるため必ず拾っているとは限りません。メモ的な扱いでご理解ください。

市部(26市)堆肥化容器の購入助成電気式生ゴミ処理機の購入助成購入斡旋無料提供独自
1. 八王子市50%
上限20,000円
段ボールコンポストは75%上限10,200円
×段ボールコンポスト・段ボールコンポストでの堆肥と基材の無料交換あり・段ボールコンポスト講習会
2. 立川市50%
上限3,000円
50%
上限25,000円
衣装ケースと「たい肥の素」黒土を使った生ごみ減量の紹介
3. 武蔵野市50%
上限3,000円
※市民団体による助成
×段ボールコンポストの紹介
4. 三鷹市50%
上限20,000円
50%
上限20,000円
段ボールコンポストの紹介
5. 青梅市××段ボールコンポストの紹介
6. 府中市75%
上限20,000円
50%
上限20,000円
・パナ電動リサイクラー(貸与4週間)
・パリパリキューブ(貸与4週間)
・土中埋め込みコンポスター(貸与12週間)
7. 昭島市67%
指定3品のみ(土中埋め込み/段ボール
67%
上限30,000円
・土中埋め込みコンポスター
・段ボールコンポスト
8. 調布市50%
上限20,000円
50%
上限20,000円
・法人用・集合住宅用の生ゴミ処理装置の助成もあり
・剪定枝木の無料チップ化(チップ車が訪問)
9. 町田市50%
上限20,000円
50%
上限20,000円
団体向けに大型生ゴミ処理機(貸与5年以上)・生ごみ処理器の紹介
・コンポストの紹介(土中埋め込みコンポスター/段ボール/密閉バケツ)
10. 小金井市50%
攪拌式上限18,000円
容器上限5,000円
50%
上限30,000円
・一部小中学校にて家庭の生ごみ投入
・生ごみ乾燥物の無料回収
・事業用生ごみ減量化処理機器購入費補助
11. 小平市50%
処理能力に応じて上限30,000円または300,000円
50%
処理能力に応じて上限30,000円または300,000円
・生ゴミ回収
・コンポストの紹介(段ボール/密閉バケツ)
12. 日野市50%
上限10,000円
×段ボールコンポスト(約8割引)・段ボールコンポストの紹介と講習会
13. 東村山市50%
上限3,000円
×・コンポストの紹介(土中埋め込みコンポスター/密閉バケツ)
・段ボールコンポスト講習会
14. 国分寺市67%
上限30,000円
67%
上限30,000円
・ごみけしくんS(約8割引)
・ごみけしくんミニ(7割引)
・市内6か所での生ゴミ回収
・食用油・ぬいぐるみ・かばん・靴・ベルト・金物・陶磁器の拠点収集
・使い捨てコンタクト・入れ歯のリサイクル
15. 国立市60%
上限5,000円
×
平成23年6月終了
ミニ・キエーロ(モニター提供)・コンポストの紹介
・生ゴミの拠点回収(登録制)
16. 福生市××
CO2が出るので令和5年度廃止
・土中埋め込みコンポスター(貸与3年,以降譲渡)
・密閉バケツ(貸与3年,以降譲渡)
段ボールコンポストとペットボトル水切り器の紹介
17. 狛江市50%
上限3,000円
50%
上限18,000円
ベランダdeキエーロ・ミニ(モニター提供)・ベランダdeキエーロミニの紹介
・使い捨てコンタクトのケースの回収(協定)
・ボトルリサイクル(協働)
18. 東大和市50%
上限20,000円
50%
上限20,000円
土中埋め込みコンポスター(貸与)・使い捨てコンタクトのケースの回収(協定)
・ボトルリサイクル(協働)
19. 清瀬市50%
上限30,000円
50%
上限30,000円
・食用油の回収(協定)
20. 東久留米市50%
上限10,000円
段ボールコンポストは上限5,000円
×・段ボールコンポストの紹介
・食用油の回収(協定)
21. 武蔵村山市50%
処理能力に応じて上限40,000円または300,000円
50%
処理能力に応じて上限40,000円または300,000円
(モニターは令和3年で終了)・ミニ・キエーロの紹介
・ゴミ減量アイデアの募集
22. 多摩市50%
上限5,000円
×段ボールコンポスト(ダンボちゃん)の紹介
23. 稲城市50%
処理能力に応じて上限3,000円または6,000円
50%
上限10,000円
段ボールコンポストの紹介と講習会
24. 羽村市50%
上限5,000エコポイント
×段ボールコンポストの紹介と講習会
25. あきる野市××密閉バケツ(貸与2年,以降譲渡)・段ボールコンポスト/EM菌の紹介
・講習会(段ボール/密閉バケツ)
26. 西東京市××・段ボールコンポストの紹介
・生ごみ/生ごみ一次処理物の回収(申込み制)
※自治体が「EM容器」「EMコンポスト」などと表現しているものも,「EM」として売られている特定商品の使用が必須でない場合は,本記事では「密閉バケツ」としています。

東京都5町8村

町村部(5町8村)堆肥化容器の購入助成電気式生ゴミ処理機の購入助成購入斡旋無料提供独自
1. 瑞穂町××
2. 日の出町50%
上限1,800円
75%
上限20,000円
段ボールコンポスト段ボールコンポストの紹介
3. 檜原村50%
上限30,000円
50%
上限30,000円
4. 奥多摩町80%
上限11,000円
67%
上限40,000円
5. 大島町××
6. 利島村××
7. 新島村××
8. 神津島村××
9. 三宅村××
10. 御蔵島村××
11. 八丈町××土中埋め込みコンポスター(3年貸与,以降譲渡)
12. 青ヶ島村××
13. 小笠原村××

東京の23区と26市で紹介・斡旋・提供している生ゴミ処理機/コンポストの種類

5町8村の中でもコンポストを紹介している自治体はありましたが,割合を算出する際に区や市と同じ扱いで母数に入れるのは正確でないためいったん省きました。

所感

  • 東京都全体の自治体数を意識する機会は普段ほとんどなく,今回の調査で62の自治体に触れ(全部の自治体のウェブサイトをしっかり見ました!),東京都の自治体の多さと豊かさ(多様さ)を感じました。
  • 62の自治体数は全国第4位です。なお,ダントツ1位は北海道で,179とのこと。北海道は規模が規格外です。
  • 「コンポスト」とは広くいえば堆肥化することであり,本来,容器や基材,手法は限定されません。そのため,特定商品の購入費助成だけでは使えるコンポストに偏りが生じます。助成や斡旋だけでなく,自治体が用意した木製やプランター製のキエーロを直接提供を行っているところもあり,それらの選択肢があることは十分合理的に感じました。
  • ほとんどの自治体が,コンポストや生ごみ処理機に関するなんらかのサービスを行っていました。その中で,大田区の状況は,客観的にも課題が大きいといえます。コンポストの存在や方法を自治体のサイトで紹介するだけであれば手軽そうですが,現状,サイトでの紹介も行えていません。
  • 26市では段ボールコンポストを推している自治体が多い印象を受けました。段ボールは身近な素材ですが耐久性が極めて低く,サステナブルではないという問題があります。そして中に入れる基材も特定のものを用いる手法ばかり紹介されており,コンポスト本来の柔軟さや楽しさを正しく市民に伝えられていない現状を,もったいなく感じます。
  • 密閉バケツは本来は嫌気性発酵で,汚臭リスクがあります。一昔前,EM菌という商品と思想が流行したときに一緒にこの容器も流行しましたが,現在では,においのしないキエーロやLFC(バッグ)のコンポストの方が人気です。今もまだ,密閉バケツの紹介・提供・斡旋が多く行われているため,時代に応じて紹介するものも適宜見直していただきたいと願います
  • 62の自治体の中で,「コンポスト」を土中埋め込みコンポスターのみを指す言葉として,同じく「堆肥化容器」を密閉バケツのみを指す言葉として使っている自治体もありました(本来「コンポスト」も「堆肥化容器」も同じものであり,幅広いものを指します)。コンポストの普及支援を適切に行っていただくためには,市民だけでなく職員に向けても,コンポストの全体像を正しく理解できるような情報を伝えていく必要性を感じました。

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