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学校だけでは無理な「生きる力」

保育者向け記事

今日は,「生きる力」のお話です。

教育界で「生きる力」というワードが強調され出したのは,1996年の「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」(第一次答申)からではないでしょうか。


今後における教育の在り方として、[ゆとり]の中で、子供たちに[生きる力]をはぐくんでいくことが基本であると考えた。そして、[生きる力]は、学校・家庭・地域社会が相互に連携しつつ、社会全体ではぐくんでいくものであり、その育成は、大人一人一人が、社会のあらゆる場で取り組んでいくべき課題であると考えた。

「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」はじめに

上記のように,ここで「生きる力」と「ゆとり」の2つが提唱されました。
(そしてこの後にゆとり教育が始まりましたが,今ではゆとり教育も終わり,これからは,「ゆとりでも詰め込みでもない生きる力を育む教育」だそうです…。)

さて,この1996年から,20年以上(!)も経ちました。
いい加減に「生きる力」に取り組まないと本当にヤバいよということで,ようやく,2020年度から本格スタートする教育改革で,こちらの理念が入りました。来年度ですね。20年以上前から言われながら,ようやく,「スタートせざるを得ない」状況になったという印象です。

昔々の戦後の高度経済成長期は,未来が見えていました。みんなが目標とするその未来に向かって,ハイパフォーマンスで走ることが重要でした。しかしその時代は終わり,今は,先が見えません。変化の時代です。今,そしてこれからは,変化し続ける社会の中で,模範的な生き方が確立されていない状態の中で,自分で課題を見つけ,自分で判断し,自分で行動し,自分で解決していく力が必要です。

これは私たちも,心からそう思っています。

自分の子どもをはじめとする,今を生きる子どもたちには,このような力を身につけて,一度きりの自分の人生を,目一杯エンジョイして生きてもらいたいものです。

さて,学校教育で「生きる力」への取り組みが始まるとは言え,文科省は,1996年のとき(当時は文部省)からずっと,今も,言っています。生きる力は「社会全体で育んでいく」と。「学校・家庭・地域が相互に連携しつつ,社会全体で取り組むことが不可欠」だと。生きる力の重要性が20年以上前から言われながら,なかなかスタートすら形にならなかった理由が,これだと思っています。学校だけでは無理だからです。

上記のとおり,家庭での取り組みも不可欠です。しかしその一方で,男女共同参画の推進等により共働きの家庭が増えており,現実問題として,就労する保護者が子どもの教育に費やせる時間は限られています。

この状態は,もう,家庭の代わりに時間を過ごす居場所である学童でこそ,生きる力を育む取り組みを積極的に行わないと,どうにも進まないのではないでしょうか。

ただ,近所の学童では,納得のいく形の取り組みは見えませんでした。そのため,それを実現する場として,ここ「いきちか学童クラブ」が誕生しました。


なお,文部科学省の最新の定義では,生きる力は,「知・徳・体のバランスのとれた力」だそうです。

一方,私たちが大切だと考える「生きる力」は,文科省の定義と似ておりますが,自分たちの言葉で,次のように定義しました。

再起力 —Resilience
(心折れずに立ち直ることができる再起力,ストレス等をしなやかに受け止める柔軟力,変化が多く不確定な状況でも対応できる適応力)

尊重する力 —Respect
(他人も,そして自分も,あるがままを認め合い,尊重する力)

学力 —Achievement
(学習意欲,学習習慣,基礎知識,表現力)

生き抜く体力 —Physical strength
(健康な体と心,いざというときに逃げ延びる体力)

いきちか学童クラブ

いきちか学童クラブは,子どもたちの主体的な遊びや日常の関わりの中で,これらの力を育んでまいります。今後ともよろしくお願いいたします。

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