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いきちか花壇のタネ採取

花の様子

東京都大田区の新蒲田二丁目児童公園の花壇を使って,地域のゆるやかで主体的なつながりづくりを行っています。現地でのソロ活動・集団活動,オンラインチャットでの活動,水やり,撮影,アイデア出し,広報など,多様な手段や多様な役割を用意しているので,「自分らしさ」を発揮できる形で活動いただいています。
いきちか花壇プロジェクト

初めて迎えた春に華やかに咲き誇った花たちも,5月に入った頃から,種(タネ)に姿を変えました。今回はタネ採取のお話です。

花がタネになる様子

まず,シレネ・ユニフローラを例に,花がタネになる様子をご紹介します。

↓これが花の状態ですね。
シレネの仲間はみんな,花のうしろが長めなのが特徴的です。ここの部位の名称,いっぱい調べました。たぶん,苞(ほう)だと思うのですが…違っていたらご指摘ください…。シレネ・ユニフローラの苞(ほう)は,ぷっくり楕円形です。

↓花が咲き終わった時期に苞(ほう)の中を見てみると,つやつやの緑色の丸い豆状のものがありました。ここがマタニティのお腹です。この豆部分の名称は「子房」なのか「室」なのか,自信ありません…。

このお腹が,緑色からだんだんと茶色になっていくにつれて,お腹の口も少しずつ開き始めます。

この間に,最初は粉のようだった種も,少しずつ大きくなっていきます。お腹の口が全開になる頃には,種も成熟しています。

やがて全開の口から種が自然とこぼれて,土に落ちて,次の命が始まります。

タネの取りどき

このシレネ・ユニフローラのようにお腹の口が開くタイプであれば,口が開いたときが,タネの取りどきです。花によってタネのでき方は本当にいろいろで,シレネのようなマタニティ腹ができないものもたくさんあります。たとえば,花が終わってカサカサに枯れてから花の根本をしごくと,パラパラとタネがとれるタイプもあります。

タネには取りどきがあって,もし取りどきより早く取ってしまうと,タネが未熟で,発芽しないことがあります。しかし,熟すのを待っていると,その間にタネが土に落下する可能性があります。黒くて小さな種が土に落ちてしまうと,それを見つけて拾うのは,至難の業です。

タネ採取というのは,実はなかなかタイミングが難しいものでした。ガーデニング素人の私たちが最初に立てた年間計画では,タネ採取もイベントにして,地域の子どもや保護者たちと一緒に種を取りたいと思っていました。しかし,やってみて気づきました。実際の採取のタイミングというのは,まったく読みきれないと。読めないし,ベストタイミングは花の1房ごとに異なります。

日時を予め決めておく形の「種とりイベント」は,現実的には,実現不可能でした。

学童保育事業を続けていれば,毎日公園に遊びに行きながら様子を見て,「もうすぐここのタネは取れそうだね」と週案の保育計画に入れることはできると思います。でも今はやっていません。(新型コロナウイルス感染症の流行と物件トラブルで閉室しました。再開の目途は立っていません)

そのため,現状での理想型は,公園にふらりとお越しいただく方に,取りどきのタネがあれば取っていただく,という形です。

「みんなの花壇」です。ぜひ,タネとりに挑戦ください。マタニティお腹の口が開いていれば,お腹ごと摘み取ってみてください。取ったタネの引き渡しの日時は,チャットやメール等でご相談ください。タネの引き渡しまで日数が経ちそうな場合は,お手数ですが乾燥させたあとにジッパー付きの袋に入れて,冷蔵庫で保管いただけますと助かります。タネも生ものなので,保存状態によって劣化速度が大きく変わってきます。

こうして花壇で採取したタネは,地域の方の栽培体験(花の里親)に使おうと思っています。助成金が取れれば夏以降に里親さんを募集しますよ!

花とタネの写真ギャラリー

ここからは,いきちか花壇のいくつかの花と,そのタネの写真を載せていきます。

▼クリスマスローズ

クリスマスローズ。つんつんしたお腹が5個ぐらい。これも徐々に茶色くなり,あるとき割れて,タネが落下します。花にネット(お茶パック等)をつけておくとタネをキャッチできます。葉っぱにキャッチしてもらおう作戦は,強風でダメでした。
つやつやのタネ。全長5mm程度。光沢があるうちなら,土に落ちてもなんとか見つけられる…かも?大変ですが!!今回は気合いで拾いました。

▼シレネ・ピンクパンサー

ビビッドなピンクの小花が映えるピンクパンサー。花壇のあちこちで育ちました。ぜひ来年も咲いてほしいです。
本文で紹介したシレネ・ユニフローラとタネのでき方は同じです。お腹がぷっくりすると口が開いてきます。しかし密集花壇の中では,この小さな茶色いお腹が,地味に見つけにくい…。お腹も重くなると横や下向きに垂れ下がり,お腹自体も薄くもろく,気づいたときには既にタネが落ちた後がほとんどでした。。今年は少ししかタネを取れませんでした。ぴえん。

▼シレネ・ディオイカ(レッドキャンピオン)

咲き始めのレッドキャンピオン。もっと伸びます。ぐんぐん伸びて,花もたくさん咲きました。
高地で堂々と目立つお腹!分かりやすい!上を向いて口を開けてくれているのも,ものすごく助かります。

ピンクパンサーと似ていますが,それより大きめ。お腹も硬め。ピンクパンサーがもろい紙袋なら,こちらのレッドキャンピオンは段ボール箱。丈夫なお腹で取りやすいです。

▼ムスカリ

2年目以降のムスカリ(球根から植えた1年目のムスカリはタネがつきませんでした)
球根ができるムスカリですが,タネもできました(当たり前か…)。お腹はまん丸じゃなく,三ツ矢型。
1つのお腹の中で3つの部屋に別れ,1部屋に1タネ。口が全開になる前でもタネはしっかり大きくなっているように見えたので,全開になる前に取りました。この状態で熟しているなら取りやすい部類です。タネはビロードのような,滑らかな漆黒。形状も独特で,揺らぎやすい&転がりやすい。きっと種を遠くまで転がしたいのだと思われ。
もともと揺らぎやすい形状のところ静電気を帯びたのか,種に軽く触れただけで,弾け飛びました!面白い!

▼モモイロタンポポ

人気のモモイロタンポポ。本当素敵です。
モモイロタンポポも,普通の黄色いたんぽぽ同様,綿毛ができます。マタニティ腹はできません。
綿毛ができてすぐに取っても,タネはまだまだ未熟でした。茶色く大きく成熟するまで待ちつつも,風で飛ばないうちに取らなければいけないという。やはりタネ採取はタイミングが難しい。
しかし・・・タネの成熟を待っているうちに,飛ぶ前に「食べ荒らされる」という事件発生!多分ナメクジ。モモイロタンポポのタネはぜひ欲しかったのに,少ししか取れずショック。
綿毛がついていると飛んでいくので,綿毛は取り除いて保管。色が薄いものは未熟なタネです。大きく太くなったものだけを取っても,焦げ茶色の成熟ダネは意外と少ないです。全体に対して「使えるタネ」の割合が極めて低いです。

▼ビオラ/パンジー

冬も春もずっと咲き続けてくれたビオラ。ありがたすぎる存在です。来年もぜひお願いします。5月までは,タネを作らせないよう(花を咲かせ続けるよう)に花がら摘みをしていました。ごめんね。
お腹が割れてタネが落ちたあと。口が開くどころか,お腹全体が割れる系です。割れるとタネが落ちるので割れる前に取りたいのですが,タイミングはかなり難しいです。まだ1粒も取れていません。花壇に落ちているならよしとしますが…。

▼オダマキ

こちらはミヤマオダマキ。もう少し背が高い西洋オダマキもあります。
ピエロの帽子のようなマタニティのお腹。西洋オダマキもこんな感じです。ここから茶色くなるまで意外と長くかかりました。
写真の上側のピンボケ部分,お腹が茶色くなって,口も少し開いてきました。しかし「全開」と思える状態になかなかなりません。この状態からもう2週間待っていますが,ほとんど変わらず。そろそろ取ろうかな。

▼オンファロデス・リニフォリア

白くやわからい雰囲気の小花。葉っぱの色もアンニュイ。
花が終わると星形の「がく」の中に,おへそ型の種ができました。花1個につき,おへそが4つほど。
最初,このおへそはお腹かと思っていたのですが,中から粒が出てくる様子がなく。このおへそがタネのようです。花壇の中ではこれが一番,タネ採取しやすかったです。

一緒にタネ採取しましょう

初めてのタネ採取でしたが,花の種類によって,タネのでき方も,落ち方/飛び方も,形状も,本当に違っていて,新鮮な発見だらけでした。また,同じ種類の同じ株の花でも,タネのできる量など,1つ1つで個性が違っています。奥深いです。

もし,タネって面白いなと感じた方がいらっしゃいましたら,ぜひ新蒲田二丁目児童公園(東京都大田区新蒲田2丁目14-19)にお越しください。じっくりタネを観察したり,採取したりしてみてください。

そして,いきちか花壇プロジェクトのLINEオープンチャットにもご参加ください♪ 花壇に関する報告・連絡・相談や,雑多なトークを,普段このオープンチャットで行っています。匿名で大丈夫ですし,無理にトークの流れを読んだりしなくて大丈夫です。顔の見えない相手への常識的な配慮をしたうえで,ラクなお気持ちでご参加ください。👍

花壇にお越しになれない遠方の方も,このブログやSNSで,写真などを通じて一緒にエンジョイできればと思っています。SNSもぜひフォローお願いします。

どうぞ,この花壇や,このいきちか花壇プロジェクトを,自分の生活にうまく利用していただければと思います。チャンスを利用する力も大事な生きる力(いきちか)です。そして,それぞれが花壇の多様な自然や,花壇に関わる多様な人たちをゆるゆると受け入れ合うことで,ゆるやかにしなやかに助け合える社会の土台になっていくと思っています。

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