ikichikagakudo@gmail.com
050-5867-2041

空き家活用の現状(大田区で空き家を学童保育に活用してみて)

ドミノ お知らせ・お願い

いきちか学童クラブは,しばらく空き家だった民家を使わせていただいています。

先日,空き家の活用に関する研究をしている方からのご依頼で,インタビューに応じました。そこでお話ししたことを思い出しつつ,空き家活用に関する現状について,以下述べさせていただきます。なお,本件は東京都大田区周辺に限っての筆者の個人的の感想です。ただ,大田区の空家総合相談窓口の方も,これと同じ認識であったと感じています。

空き家って意外と安くない

最近本当に実感しているのが,「空き家って,意外と安くない」ということです。 結論からいえば,普通に不動産仲介業が扱っている築年数古めの物件と同じ価格帯です。

現代は,モノを所有しないシェアの時代とも言われていますが,一方で,空き家の所有者は,モノの所有にこだわりのある方が多い世代です。
所有者さん世代は,戦争で何もかも失った後にみんなで努力して成り上がっている時代でしたので,所有に価値を感じるのは当然のこととは思います。

ですので,空き家に対して,私たちからは「使い道がなく,持て余している空き家」と見えていても,所有者さんのお立場では,「所有している価値のある家」というご認識だったりします。

また,10年ほど前まではまだ,所有者さんと空き家を使いたい人が出会うことが困難だったので,空き家を持て余していた所有者さんは「タダでもいいから使ってほしい」と思えたようですが,しかし最近は,よいのか悪いのかマッチングサービスが整ってきました。大田区は区までもがマッチングをしています。所有者が借り手を見つけることがとても簡単になりました。

そして,10年ほど前まで価格が格安だったので,空き家利用はブームになり,急激に需要が高まりました。こうなると,市場原理により,値段は上がります。

「空き家」って何なのか,その定義があいまいであることに気付かされるほど,今は,不動産屋が築年数古めの住宅を仲介・斡旋するのと,ほとんど同じ状態です。たまに安い物件があっても,結局は,相当修理しないと使えないような「訳あり物件」です。

空き家は,借り手にとって値段的なうまみは,現状ほとんどありません。

意外とリノベーションも自由ではない

このほか,空き家の利点として,一般的には「リノベーションしやすい」ことがあげられています。しかしこれも実際は,必ずしもそうとは限りません。

所有者さんの価値観次第ですが,ひとたび,自分の家が人に貸せる価値あるものだと認識してしまうと,また次に貸すことを考えて,改造を嫌がるケースがあります。こうなると本当に,普通の賃貸物件です。

あるいは,もしこの物件が,以前,自分や大切な家族が住んでいたなどの思い入れのある家だと,なおさら,「変えること」に強い心理的抵抗があるようです。心理学的にも,変わること,失うことへの恐怖は自然な心理状態なので,これは致し方ありません。しばらくそっとしていた思い入れのある空き家を,ブームや周りの勧めによって貸してみたというケースが増えてきていますので,その分,リノベーションは禁止という物件も多く登場している印象です。

空き家活用の利点は社会貢献ぐらい

空き家を活用することの利点は?と聞かれても,値段のうまみもリノベーションのうまみもあまりない状態になってしまいましたので,あるのは,「社会貢献」ぐらいに思います。

使い捨てでなく,今あるものを有効活用し,循環させること。これはSDGsにも見られるように,大切にしなければならない目標です。

また,手入れされていない荒れた空き家があると,そこから治安悪化につながります(=窓割れ理論)。空き家活用は,治安悪化防止にも,大きな役割を果たしています。

空き家活用は,社会のため,地域のため,地球環境のための行動です。そのことをどうか所有者さんもご理解いただき,金額設定の際にご考慮いただきたく,心よりお願い申し上げます。

また,国や自治体による,空き家活用の補助金制度も整えていただきたく,何卒お願いいたします。

現状での価格設定は,空き家活用の足かせになっていると思います。

いきちか学童クラブは別の物件も探しています。民家をお安く貸してくださる方を大募集中です。
ぜひご連絡ください。

2021年12月追記(撤退理由)

いきちか学童クラブは2020年5月に,新蒲田二丁目の民家から撤退しました。理由の一部は次のようなものです。

  • 間借りだったので,ほかの住人の行動によってコロナ禍での衛生や安全を保証できなかった。
  • 些細なリノベーションもままらなず,営業妨害となる干渉もあった。
  • 契約前と話が違うことや不鮮明なことが多くあった。

多くの方のお力添えをいただきながら他の空き家も探しましたが,10人以上の子どもが生活と遊びをするための広さや生活設備がある物件は,やはり「訳アリ物件」以外は,相当の値段となりました。一件,価格的には好条件な物件がありましたが,近所に子どもに否定的な人がお住まいで,叶いませんでした。

現在は箱もの事業となる学童保育事業は停止して,公園花壇を使った社会貢献に挑戦しております。公園花壇とインターネットを通じて,地域の新しいつながりや,植物の生命力に触れながら新しい学び等のきっかけとなればと思っています。この「いきちか花壇プロジェクト」へのご支援を,どうぞよろしくお願いいたします。

いきちか花壇プロジェクト

関連記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました